「発展場」という言葉を耳にしたことはありますか?なんとなく意味は知っているけれど、詳しくは知らないという方も多いかもしれません。
この記事では、「発展場(ハッテン場)」という言葉の本来の意味や由来、そしてなぜそうした場所が利用されるのかについて、中立的な視点から分かりやすく解説していきます。
発展場(ハッテン場)とは
「発展場」とは、主に男性が他の男性との出会いや性的な交渉を求めて集まる場所の総称です。特定の施設を指す固有名詞ではなく、そうした目的で利用される空間全体を指す言葉として、主に当事者コミュニティで使われています。
発展場は、大きく分けて2つのタイプが存在します。
流用発展場
公園や公衆トイレ、特定の駅など、本来は別の目的で設置されている公共のスペースが、暗黙の了解のもとで出会いの場として利用されているケースです。
有料発展場
性行為のための場として運営されているサウナやビデオボックスなどがこれにあたります。入場料を支払い、明確な目的意識を持った人が集まるクローズドな空間です。
なぜ「発展」と呼ばれるのか?
多くの人が疑問に思うのが、「なぜ『発展』という言葉が使われるのか?」という点でしょう。
これは、当事者の間で使われるスラング(隠語)に由来します。もともと、男性同士がその場で出会い、関係が性的な段階に進むことを「発展する」と表現していました。
このように、状況が先に「進む」ことを意味する動詞が、出会いの場における特有のニュアンスで使われるようになりました。
そして、そのような行為、つまり「発展するための場所」という意味合いから、いつしか「発展場」という言葉が定着したのです。ポジティブな意味を持つ「発展」という言葉をあえて使うことで、直接的な表現を避ける意図があったとも考えられます。
なぜ発展場は利用されるのか?
高い匿名性
名前や職業、身元を明かすことなく、その場限りの出会いを求めることができます。自身のセクシュアリティをオープンにしていない人にとって、プライバシーが守られるという安心感があります。
直接的でスピーディーな出会い
アプリのようにメッセージのやり取りを重ねる必要がなく、その場で目的を共有する人々と直接出会うことができます。言葉を介さないコミュニケーションを求める人や、すぐに会いたいというニーズに応える形です。
「場」が持つ共通認識
その場所にいる時点で、ある程度の目的を共有しているという暗黙の了解があります。そのため、一般的な場所で相手を探す際に生じる「相手も同じ目的だろうか?」という不安や、断られることへの恐怖が少ないという側面もあります。
知っておくべき注意点と社会的な課題
発展場の利用には、個人のリスクだけでなく、社会との関わりの中で生じる様々な課題が存在します。
性感染症(STI)のリスク
不特定多数との性的な接触の機会が増えるため、HIVを含む性感染症(STI)のリスクは常に存在します。予防策についての正しい知識と実践が不可欠です。
トラブルのリスク
特に公共の場所を利用する場合、一般の利用者とのトラブルや、盗難や恐喝、暴力などの犯罪に巻き込まれる危険性もあります。また、公然わいせつ罪などに問われる法的なリスクもゼロではありません。
公共空間の利用をめぐる問題
本来の目的とは異なる形で空間が利用されることで、他の利用者との間に摩擦が生じることがあります。
例えば、公園の特定のエリアやトイレが発展場として認識されると、子育て世代や地域の住民がその場所を「危ない」「使いづらい」と感じ、敬遠するようになります。これが行政への苦情につながり、結果として夜間閉鎖や巡回強化といった対策が取られる原因となります。
また、一般的なサウナ施設で一部の利用者が発展目的で振る舞うと、純粋にリラックスしたい他の客に気まずい思いをさせたり、不安を与えたりすることがあります。こうした状況は、施設の評判低下や、注意喚起の貼り紙、ルールの厳格化につながり、すべての利用者にとって快適な空間を損なうことになりかねません。
まとめ
今回は「発展場(ハッテン場)」について解説しました。
発展場とは、男性が男性が性行為を目的として出会う場所の総称です。流用と有料の2種類があり、匿名性や出会いの直接性を理由に現在も利用されています。しかしその一方で、性感染症や犯罪トラブルのリスク、そして公園やサウナといった公共空間の利用をめぐる社会的な課題も抱えています。
この記事が、「発展場」という言葉への理解を少しでも深めるきっかけになれば幸いです。